屋外広告物は、企業や個人事業主が多くの方々にメッセージを届けるためのツールです。
街中に設置される看板やネオン、ポスターは目立ちやすく、ブランドやサービスの知名度を一気に上げることができます。
しかし、屋外広告を設置する際には、単にデザインや場所を決めるだけでは不充分です。
広告物の設置には必ず自治体への申請手続きが必要であり、これを怠ると重大なリスクを伴います。
本記事では、屋外広告申請の重要性、手続きの流れ、申請を怠った場合のリスク、そしてトラブルを避けるためのポイントについて詳しく解説します。
屋外広告物とは何を指すのか?
屋外広告物とは、道や建物の外に設置され、多くの方々に見てもらうための広告のことです。
看板やポスター、旗、ネオンサインなどが屋外広告に該当し、たとえ私有地であっても、外から見える場所に設置されていれば屋外広告物として扱われます。
広告の内容は、お店の名前や商品、会社のロゴ、イベントの告知などさまざま。
たとえば、店舗の入り口に大きな看板を掲げたり、ビルの壁にポスターを貼るものも該当します。
継続的に表示されることが特徴で、たとえ1日1時間だけでも毎日表示されるのであれば屋外広告とみなされます。
屋外広告は目立つため、多くの方にアピールできる効果がありますが、「屋外広告物法」という法律に基づき、正しい手続きをして設置しなければなりません。
この法律は、公共の景観を守り、人々に危害を加えないようにするために定められています。
一方、屋内に表示されたものや、配布されたチラシは屋外広告物には該当しません。
屋外広告物申請は絶対に必要!理由を解説
屋外広告物を設置する際には、必ず自治体への申請が必要です。
無許可での広告物設置は、法律に基づき厳しく取り締まられており、違反した場合には罰則が科される可能性があります。
この章では、なぜ屋外広告申請が必要なのか、その理由について詳しく説明します。
屋外広告物法などに基づく申請義務があるから
屋外広告物を設置する際には、日本全国で適用されている「屋外広告物法」という法律に基づき、広告物を許可なく設置することはできません。
この法律は、地域の景観を守るためや、広告物が風などで落下して危害を加えるのを防ぐために定められています。
それだけでなく「文化財保護法」や「景観法」など、他の法律が適用される場所では、屋外広告物法と併せてさらなる規制が加えられます。
文化財保護法は、特に文化財周辺の景観や保護区域での建造物や広告物の設置を制限しており、広告物を設置する際には、こうした法律に基づいた追加の規制があるため、事前に詳細な確認が必要です。
たとえば、京都市のような歴史的景観地区では、屋外広告物法だけでなく、文化財保護法や地方自治体の独自の条例が適用され、看板の色やデザインにも特に厳しい基準が設けられています。
基準があるのは、歴史的な街並みや景観を守るため。該当地域における広告物の設置者は、こうした基準に従わなければなりません。
各地方自治体の条例に基づく申請義務があるから
屋外広告物を設置する際は、地方自治体ごとの条例に基づいて申請が必要です。
特に、広告物を掲示できる場所やサイズ、設置期間、デザインなどは、それぞれの自治体が定める基準に従う必要があります。
地方自治体は、地域の景観を守り、事故を防ぐために広告物に対して厳しい規制を設けており、無秩序に広告が設置されることを防止しているのです。
たとえば東京都では「東京都屋外広告物条例」が施行され、特に多摩地域(八王子市を除く)で厳しい規制が適用されています。
広告物が景観を損なわないよう、設置場所やサイズ、デザイン、表示内容などが細かく管理されています。
申請を怠るとリスクがあるから
屋外広告物を無許可で設置した場合、広告物は「違法広告物」として扱われ、自治体からの撤去命令が発行される可能性があります。
この撤去に要する費用は設置者が負担しなければならず、経済的負担だけでなく、企業のイメージダウンにもつながります。
加えて、無許可設置には罰則も伴います。
たとえば、東京都の条例では、無許可広告物の設置に対し、最高で30万円以下の罰金が科せられる場合があります。
また、違法設置が原因で広告物が落下し、人や物に被害を与えた場合、設置者はその責任を問われることになります。
このような事態を避けるためにも、正しい手続きが必要不可欠です。
屋外広告物申請の具体的な申請手続きの流れ
屋外広告物を掲示したい場合、適切な申請手続きを行いましょう。
正規の手続きを経ることで、違法設置によるトラブルを未然に防ぎ、地域の景観や安全基準を守りながら、広告の効果を最大限に引き出すことができます。
ここからは、屋外広告を設置するための具体的な申請手続きについて、順を追って見ていきましょう。
【手順1】申請の準備をしよう!
屋外広告を設置する前の準備段階で、広告主が事前に確認・整理すべき項目は以下の通りです。
- 設置場所
- 広告デザインとサイズ
- 必要書類(「屋外広告物許可申請書」といった名称であることが多い)
- 屋外広告物管理者の資格証明書(高さ4mを越える広告の場合)
- 他法令との整合性(道路占用許可や建築基準法など)
- 申請手数料
- 許可期間・更新スケジュール
- 許可済シールの取得と表示(許可が出た後)
- 安全点検・メンテナンス計画
- 景観と周辺環境への配慮
屋外広告を設置する際は、まず地域ごとの規制を確認することが重要です。
各自治体によって、広告物に関するルールは異なります。
たとえば、東京都では、特定の住居地域や景観地区では広告物の設置が厳しく制限されています。
禁止区域では、無許可で広告を設置すると罰則を受けることがあるのです。
また、埼玉県でも、文化財保護法に指定された場所や、特定の保安林地域などでは広告物の設置が禁止されています。
申請準備としては、まず設置する広告物の図面やデザイン案を作成し、それをもとに自治体に相談することがおすすめ。
自治体によっては、広告物が設置される場所や近隣の建物との位置関係を示す地図や、設置後の見え方を合成した「モンタージュ写真」が求められることもあるため、別途準備が必要です。
こうした指定に備え、事前に充分な情報を揃えておくことが、スムーズな申請につながります。
【手順2】申請書類の入手
屋外広告物の申請書類は、全国一律の書式ではありません。
申請書類の形式や内容は、東京都や埼玉県など、各自治体によって異なります。
そのため、広告を設置する地域ごとに定められたフォーマットを使って申請する必要があります。
申請書類の入手方法は、自治体の公式サイトから無料でダウンロードしたり、窓口で直接受け取るなど。
また、郵送で取り寄せることも可能ですが、その場合は返信用封筒や切手が必要です。
【手順3】申請書類の作成と提出
以下からは、一般的な申請書類の書き方について解説します。
必要書類の準備
申請書類には基本的な情報として、広告物の種類やサイズ、設置場所などを詳細に記載する必要があります。
具体的には、以下の内容を記載することになります。
- 申請者情報:名前、住所、連絡先
- 広告物の種類:看板、ポスター、ネオンサインなど
- 数量:設置する広告物の個数
- 総面積:広告物全体の面積(㎡単位で)
- 表示内容:広告に掲載する文言やデザイン
- 設置場所:具体的な住所や建物名
- 設置期間:広告物を表示する期間
- 広告物の所有者、占有者、管理者:誰が所有し、管理するか
- 工事施工者:設置作業を行う業者の情報
広告物の大きさや設置場所に応じて提示情報の要件は異なるため、各自治体のルールに従いましょう。
たとえば、東京都と埼玉県という隣接した地域でも、細かな規定は異なります。必ず地域ごとの条例を確認しましょう。
また、広告物の設置前には、事前相談ができる自治体もあります。
相談を行えば設置場所やデザインが規制に適合しているか確認できるため、トラブルを未然に防ぐことが可能です。
提出方法を選ぶ
提出方法は自治体によって異なりますが、主に以下の3つの方法があります。
- 窓口に直接提出
- 郵送での提出
- オンライン提出
郵送の場合は、返信用封筒が必要となる場合もあります。
申請後の流れ
屋外広告物の申請を提出した後の一般的な流れについて、以下から解説します。
【1】申請の受付
申請書類が自治体の窓口に届くと、担当者が書類を確認します。
この段階では、書類に不備がないかがチェックされるのです。
もし不足している書類や記入漏れがあれば、追加で提出を求められることがあります。
【2】審査
書類が受理されると、審査が行われます。
審査の主な目的は、提出された広告物が法律や条例の基準を満たしているか、設置場所が禁止区域や規制区域に該当していないかなどの確認。
また、広告物のデザインやサイズが、周囲の景観を損なわないかどうかもチェックされます。
【3】手数料の支払い
審査が進んで問題がないと判断された場合、広告物の種類や設置する地域に応じた許可手数料を支払うよう指示が出ます。
手数料は広告物の大きさや数量によっても変わるため、自治体の指示に従い、事前に金額を把握しておきましょう。
一般的には、申請が受理された後に手数料を納付します。
【4】許可証の交付・許可済シールの取得
手数料が支払われると、最終的な確認を経て「許可証」が発行されます。
この許可証は、広告物を設置する際の証明書であり、許可が下りた証となります。
また、許可証と一緒に「許可済シール」も交付されるので、広告物の目立つ位置(看板の近くや出入口)に貼り付けましょう。
この手続きを忘れると違法広告物と見なされるため、必ずシールを取得し、適切に表示しましょう。
【5】完了届の提出
広告物の設置工事が完了したら、自治体に「完了届」を提出する必要があります。
これに加えて、設置後の写真を添付し、広告物が正しく設置されていることを報告します。
完了届の提出が終わると、すべての手続きが完了します。
申請前に知っておきたい!申請後の進行をスムーズにするためのポイント
屋外広告物の申請をスムーズに進行させるためには、事前の準備と細かい配慮が必要です。
以下は、申請後の流れを円滑に進めるために気を配っておきたい重要なポイントです。
書類の不備を防ごう
申請書類に不備があると、自治体から修正を求められたり、追加資料を提出しなければならなくなります。
審査が中断し、許可が下りるまでの時間が延びてしまっては、以後のスケジュールに支障をきたします。
事前に必要な書類や情報を充分に確認し、不備のない状態で提出することが重要です。
手数料は早めに支払おう
許可申請手数料の支払いは、許可の最終段階に直結しています。
手数料を遅らせると、許可証の交付も遅れてしまうため、請求があったらすぐに支払うよう心がけましょう。
早めの対応が、全体のプロセスをスムーズに進めるカギとなります。
工事完了後の報告も忘れずに
広告物の設置が完了したら、完了届を提出することが義務付けられていることが多いです。
この完了報告を忘れると、許可手続きが完了しないため、工事が終わったら速やかに届出を行いましょう。
設置後の写真を添付する必要がある場合も多いので、写真の準備もお忘れなく。
申請時期に余裕を持とう
通常、申請から許可が下りるまでの期間は1~2週間程度ですが、繁忙期や地域によっては3~4週間かかる場合もあります。
急ぎで広告物を設置したい場合には、この期間を見越して、余裕を持って申請することが大切です。
また、各自治体には「設置予定日の○日前までに申請を行う」というルールが設けられていることがあります。
たとえば、設置予定日の1~2か月前までに申請が必要なケースもあるため、事前に自治体のルールを確認し、計画的に申請を進めましょう。
事前のコミュニケーションを丁寧に
申請書類の提出後に不明点が出ると、申請後の進行が遅れることがあります。
申請前に疑問点を解消しておくことで、後のトラブルを防げます。
自治体によってはメールや電話での問い合わせを受け付けているので、必要であれば早めに確認しておきましょう。
屋外広告物の申請手続きは複雑!困ったら専門業者に代行を依頼しよう
この記事では、屋外広告物の設置に必要な許可申請手続きの重要性と具体的な流れについて詳しく解説しました。
屋外広告物は、企業や店舗が多くの人々にメッセージを届けるために効果的な手段です。
しかし、広告物を設置する際には、法律や条例を遵守し、適切な申請手続きを行うことが必須です。
屋外広告物法や各自治体の条例に基づき、申請を怠ると罰金や撤去命令が下ることも。場合によっては、事故のリスクまで伴います。
そのため、広告物の設置には、事前の準備と正確な書類提出が不可欠です。
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