看板は、一度設置したら24時間休まずに店舗や企業の宣伝をする広告媒体です。
店舗や企業の場所・魅力を伝えたり、顧客をその場所まで誘導する「案内板」の役割も担っています。
ただし、雨風や紫外線に晒された看板は、次第に劣化していきます。
看板の劣化が進むと、看板に記載されたあなたの企業の大切な情報が見えづらくなってしまうことも。これでは宣伝効果が弱まるのはもちろん、事故の原因にすらなってしまうケースもあるので注意が必要です。
そのため、看板は定期的な点検やメンテナンスをおこなう必要があります。
そこで、本記事では看板・屋外広告物の点検・メンテナンス方法を詳しく解説していきます。
自店・自社の広告塔である看板の効果を最大限まで高めるため、ぜひ参考にしてください。
看板・屋外広告物に点検が必要な3つの理由
看板・屋外広告物の点検とは「経費に余裕があればした方がいい」というタイプのものではなく「確実に予算を割り当てて行わなければならない」作業です。
その必要性を裏付ける3つの理由について、以下から詳しく解説します。
看板・屋外広告物は自治体ごとに点検がほぼ義務化されているから
看板や屋外広告物の安全点検は、各地方自治体の条例に基づいて定められています。
自治体によっては、特定の条件を満たす屋外広告物について、定期的な安全点検を義務付けているのです。
たとえば東京都では、広告物条例等により屋外広告物の所有者や管理者には安全に関する管理義務が課されています。
広告物が老朽化したり、破損したりして事故が起きないように、常に適切な状態で維持管理することが求められているのです。
異常が発見された場合には、速やかに修繕や撤去を行う必要があります。
つまり、看板やそれに類する広告物の安全点検を行う義務があると理解することもできるため、所有者や管理者は定期的に状態を確認し、安全を確保することが重要です。
ただし例外もあり、東京都は以下の条件に当てはまるものは屋外広告物に該当しないとしており、安全点検の義務はありません。
出典:東京都「屋外広告物のしおり」 |
一方、地方自治体によっては、看板の高さが4mを超える場合や、地上から上端までの高さが4mを超えるもの、さらに表示面積が10㎡を超えるものであれば屋外広告物と定義し、安全点検が義務付けられることがあります。
このように、看板や屋外広告の定義とは、自治体ごとに異なることもあるなど曖昧です。
そのため、自店・自社の看板に点検義務があるかどうかが不明な場合は、まずは管轄する自治体に確認してください。点検の頻度についても、各自治体ごとに規定がありますので、注意が必要です。
東京都の例であれば、安全点検を怠ると、30万円以下の罰金が科される可能性があるとされています。
しかし、仮に点検義務や罰則規定がなくても、次に紹介する2つの理由から「看板の点検は必須項目」であるといえます。
事故に繋がる可能性があるから
雨風にさらされた看板は、年月とともに劣化が進みます。
特に、腐食や錆が発生した場合、看板が落下するリスクが高まり、重大な事故につながる可能性があります。
実際に、2015年2月15日には札幌市で飲食店ビルの壁面に設置されていた看板の一部が強風により落下し、通行中の女性が重傷を負う事故が発生しました。
この事故の原因は、看板の支柱部分が老朽化し腐食していたことが一因とされており、この出来事を契機に札幌市は看板の安全管理を強化しました。
全国的にもこのような事故を防ぐため、屋外広告物の安全点検が義務化されている自治体が多くあります。看板の定期的な点検は、こうした事故を未然に防ぐために不可欠です。
店舗や会社のイメージが悪くなり、集客に影響が出る可能性があるから
看板が古くなってボロボロになると、お店や会社の印象が悪くなり、お客様が来なくなる可能性があります。
見た目にわかるほどの錆びや色褪せた看板は、見た人に「このお店、大丈夫かな?」と不安を与えてしまいます。
たとえば、飲食店の看板が汚れていた場合、以下のような印象を与えてしまう可能性があるのです。
- 「ここ、ちゃんと営業してるの?」
- 「衛生面は大丈夫かな?」
- 「美味しくなさそう」
こうした印象を抱かせてしまうことは、飲食店にとって致命的。
看板はお店や会社の「顔」のようなものです。
安全点検だけでなく、日々の掃除やお手入れをしっかり行いましょう。
看板・屋外広告物の点検では具体的に何を確認すべきか?
看板の点検には、以下3種類があります。
- 日常点検【所有者・占有者が担当】
- 定期点検【業者・有資格者が担当】
- 臨時点検【台風などの災害時に】
ここからは、こうした点検の種類ごとに、具体的な看板や屋外広告物における点検項目について詳しく見ていきましょう。
日常点検【所有者・占有者が担当】
日常点検は、看板の持ち主や設置している方が、毎日目で確認するというもの。
こうした目視による点検は、早期の不具合発見や事故防止につながります。
点検項目を表にすると、以下のようにまとめられます。ぜひ、チェック表代わりにお使いください。
看板の種類 | 点検項目 |
---|---|
ポール 野立て看板 壁面看板 |
|
袖看板 |
|
共通 |
|
定期点検【業者・有資格者が担当】
定期点検は、屋外広告士や建築士、および屋外広告物点検技能講習修了者など、資格を持った専門業者が行います。
自治体ごとに定められた周期で点検を行うことが義務付けられており、一般的には年に1回の定期点検が必要。
一部の自治体では、3年に1回の点検が必要な場合や、地震や台風など災害時には臨時点検が求められることがあります。
以下表では、国土交通省が発表した「屋外広告物の安全点検に関する指針(案)」に基づき、点検項目をまとめました。
点検箇所 | 点検項目 |
---|---|
基礎部 | ・上部構造全体の傾きやぐらつき ・基礎のひび割れ ・支柱のぐらつきや根元部分のすき間 ・鉄骨の錆び ・塗装の劣化 |
支持部 | ・鉄骨の接合部の腐食や変形、すき間 ・ボルトやビスのゆるみや欠落 |
取付部 | ・アンカーボルトや取付部の腐食、変形 ・溶接部分やコーキングの劣化 ・取り付けた柱や壁の周りの異常 |
広告版 | ・表示面板や文字部分の腐食、破損、変形 ・側板や押さえの腐食やねじれ、破損 ・広告版底部の腐食、水抜き孔の詰まり |
照明装置 | ・照明が点灯、発光するか ・取付部の破損や漏水、錆び ・周辺機器の劣化や破損 |
その他 | ・避雷針や付属部品の腐食や破損 |
表における「点検箇所」をそれぞれ詳しく説明すると、以下のようになります。
- 基礎部:看板を支える土台部分
- 支持部:看板本体を支える鉄骨や接合部分
- 取付部:建物や支柱に看板を固定する部分
- 広告板:広告を表示する面やその周辺部材
- 照明装置:看板を照らすライトやその取り付け部分
- その他:避雷針や装飾品などの付属部材
点検報告書の形式や点検内容は各自治体によって異なりますので、管轄の自治体のウェブサイトで確認してください。
これまで見てきたように、定期点検で対象となりがちな不具合とは、直そうとしても素人では対応できないこともあります。
したがって、もし点検方法や規定について不明点があった場合、専門家にご相談されることもおすすめします。
太陽巧芸社には、屋外広告士や広告物点検技能講習修了者などの有資格者が在籍しており、自治体の規定に従った安全点検の実施が可能です。
点検義務の有無が分からない場合でも、診断から実際の点検の必要性までをまるっと受け付けておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
臨時点検【台風などの災害時に】
地震や台風などの災害が起こったときは、緊急で臨時点検を行うことが重要です。
災害の後は、看板が傾いたり、ビスが緩んだりしている可能性があります。
こうした臨時の場合も、できるだけ専門業者に依頼して安全を確認することをおすすめします。
定期点検を忘れずに!看板の劣化を防いで安全を確保しよう
この記事では、看板や屋外広告物の点検について解説しました。
看板や屋外広告物は、多くの自治体で定期的な安全点検が義務付けられており、点検を怠ると条例違反になるだけでなく、看板それ自体が事故の原因となる可能性があります。
事故によって人や物に被害を与えた場合は、賠償責任を負い、多額の費用がかかることも。また、お店や会社のイメージが悪くなり、お客さんが減るリスクも生じてしまいます。
看板の点検には、日常点検、定期点検、そして災害時に行う臨時点検の3種類があります。
日々、自分たちで目視による簡単な点検を続けつつ、決められた周期に合わせて、専門の業者に定期点検を依頼することが大切です。
また、台風や地震などの災害後にも、臨時点検を行う必要があります。特に災害の影響が大きい場合は、専門業者に依頼すべき。
定期的な点検を通じて看板の状態を常に把握し、安全を確保しましょう。お客様が日常点検で気になる点があれば、すぐに専門家に相談することをおすすめします。
私たち太陽巧芸社では、看板の定期点検や修繕も専門的に行っております。
安全対策を怠らず、長く安心して看板を使い続けるために、プロのサポートを受けることは長期的に見ても最コスパの方法です。
私たちは、豊富な経験と専門知識で、事故を未然に防ぐためのアドバイスと点検を行っております。看板の安全対策を万全にしたい方は、ぜひご相談ください。